【新聞記事】真の「ものづくり魂」2018年10月25日
そのリュックザックは昭和の時代に作られた。
大きな容量と背負いやすさ。 適当に頑丈で余計な機能が排除された「使い勝手のいいザック」。
これを背に高所から平地まであらゆる場所に赴いた。
しかし歳月には抗せず、樹脂部品の劣化破損で使用不能に。
製造元を訪れて頼み込んだが 「修理不能」。
とても残念な思いを味わったそんな中、
ものづくり事業を通じて「かばんの総合病院」と銘打つ事業所と出会う。
スーツケースやかばん修理を営む同社にとって大荷重の掛かるザックは専門外。
しかし当方の思い入れと、強度が必要な場所、失われてよい機能を丁寧に聞いてくれた、そして1カ月。
見事にそのザックは現役に復帰した。
千差万別の故障を修理するには高い技術とノウハウの蓄積が求められる。
価格競争の結果、「安かろう悪かろう」が氾濫し、故障すれば
すぐ新製品を勧められるのが当たり前の昨今。
その中で「ユーザーの思いに寄り添いながら丁寧に直す」ことに技術を発揮する人々。
新しく作るだけでなく、古いものを直すことにこそ、真のものづくり魂が発揮されるのではないか。
そんな思いにとらわれた、1件だった。
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