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スーツケース修理

【掲載記事】THE EAGLE 「”捨てる”から”活かす”へ 循環型ビジネスへの挑戦」2007/12/01

使う側に立ったサプライズな修理

使い込まれた鞄の風合いまで再生

株式会社山澤工房

始まりはスーツケースのレンタル業。しかし、海外旅行の大衆化とともに大衆化とともに個人所有が増え、良いモノを長く使い続ける時代に。やがて修理が本業になった。

〜修理には一つひとつに創意と工夫が求められる〜

破損して戻ってくるレンタルスーツケース

自分に合った確かなモノを一生使い続けたい。そうしたニーズが確実に高まっている。 もしかりで、手になじむ、相性の良いモノに出合うことがある。大きさや材質、重さ、バランスなどが自分にピッタリくる鞄は、めったなことでは置き忘れたり紛失したりしないものだ。

だが、持ち歩く頻度が高いほど、破損する確率も高くなる。社長の山澤信一氏がスーツケースのレンタル業を始めたのは一九七九年。庶民レベルでの海外旅行が一般化し始めたころだ。
とはいえ、当時は大多数にとって「一生に一度」程度の旅行。
そのため、高価なスーツケースを買う人は少なかった。
「核家族でマンションに住む人が増えて住居形態も変化する中で、大きなスーツケースを置いておくスペースなど確保できない。 一週間くらいしか使わないのならレンタルで間に合わせよう、というのは合理的な考え方だと思いました」と、山澤氏は振り返る。

兵庫県の旅券事務所前でチラシを配布すると注文が舞い込み、事業は順調に滑り出した。 だが、思わぬことで「ブレーキ」がかかった。 貸し出したスーツケースのうち、三割が破損して返ってくるのだ。 航空会社に責任があれば修理してくれるが、利用客に責任がある場合は旅行保険の手続きが面倒だ。 メーカーへ修理に出すと1ヵ月もかかる。

そうしたことが続くうちに「ウチで直してしまえ」となった。


どうすればプラスチックがピタリとくっつくか、どうしたら傷跡が残らなくなるか。 そのような創意工夫をすることは、もともと大好きだった。修理の技術が向上し、ほかのレンタル店からの修理依頼にも

応じるようになった。 修理スタッフが数人に増えてきたころ、「ほかの業界にも壊れて困っているところはあるだろう」と考えた。最初のターゲットは宅配便会社。 全国千数百カ所の営業所に 「靴修理します」とファクスを送ったところ、すぐに反応があった。その後、国内外のエアライン各社、海外旅行損保会社などにも顧客が広がった。

戦争とテロで修理激減 国内需要の掘り起こしへ

現在、月1500~2000個、年間約2万個の鞄類を修理する。その約半数が損保会社からの依頼だ。ただ、 十年ほど前から全国の百貨店で「修理承り会」を開催、また全国に修理取次店を募集するなど、個人客や国内市場を重視した営業展開も始めた。

というのも、戦争やテロなどの影響が予想外に大きかったからだ。

9・11テロの後は一日100個近くあった修理依頼が3、4個にまで激減。 運転資金がショートし、借り入れせざるを得なくなったという。百貨店の承り会では、個人客から 「壊れたが捨てられずにしまっていた」と愛着の品が持ち込まれる。 修理取次店とはテレビ電話でやり取りし、見積もりを行う。

百貨店や取次店に行けない人からは、ホームページを通してメールなどで修理依頼が入る。 メールの場合、破損個所などの画像データを送ってもらい、仮見積もりをする。 現物到着後に本見積もりをして、了解を得られれば修理にかかる。 修理代金は、破損の状況によっては購入価格以上になることもある。

送料は客側が支払う。客の負担は小さくない。
そもそもメーカーで責任を持って修理するのが本筋ではないのだろうか?

その疑問に対し山澤氏はこう答える。
「靴メーカーは倒産などの浮き沈みが激しい。 発売元は国内でも製造は海外というケースも多い。 海外の名もないブランドの場合は、修理依頼などほとんどお手上げの状態です。 有名ブランドは修理に対応するが、使い込まれた靴の風合いまでは再生してくれない。 修理個所は新しい革に張り替えられるだけということも少なくないのです」

このような状況の中、山澤工房には次のような感謝の声が寄せられる。

お客様の声

「本来なら買った店へ修理に出せばよいのですが、残念ながら数年前に撤退してしまい困っていました。 何軒か鞄の修理を扱うところに問い合わせましたが、部品が特殊なので 「ウチではできません」といった返答でした。御社にたどり着き希望がわいてきました」

「丁寧な修理をしていただいて、どこを直したのか分からないくらいなので本当にうれしいです。 これからは気に入ったものをあきらめなくてよいので安心です」

「突然届いたステキなサプライズに感動しました。すぐに「出張に間に合わせて大急ぎでやってくれたんだ!」と感じました。この時のうれしさは、ちょっと言葉では言い表せません」

現代の修理業には若い感性が必要高額な費用でも修理依頼が絶えず、感謝の声が寄せられるのは「使う側に立って直す」という修理に対する独自の姿勢と職人技があってのことだ。

その結果が「どこを直したのか分からないくらい」の出来映えとなる。


「職人技」 と言われるが、工房の技術スタッフはほとんどが20~30代。

修理の工程は、金、プラスチック成型、接着、縫製 塗装など多岐にわたるが、経験者はほとんどいない。 一つのやり方にこだわったり、言われたことだけを忠実にこなすだけでは役に立たないという。

必要なのはセンスとやる気。 募集広告を出す時は必ず「手先の器用な方、 工作仕事が好きな方」と書くそうである。鞄やバッグは色やデザインが半年ごとに変わる。 素材も急速に進化する。

したがって「流行を感じる心」がないと、こうした製品の修理には向かない。 マニュアルなどを作成しても、 あっという間に陳腐化する。技術の伝承は「口伝」が基本。 先輩が後輩に実地教育で伝えていく。日本の修理・再生市場は、 2010年には、12兆円まで拡大する見通しだ。

欧米の鞄メーカーや修理会社などを視察した専務の山澤高明氏は「欧米は良いモノを修理して使い続ける文化だが、修理のスキルそのものは決して高くはない」と言う。

「もったいない」という言葉に象徴されるように「モノの効用を使い尽くす」のは、長く日本人の美風だった。大量生産・大量廃楽が行き詰まりを見せ始める中、日本人の細やかな感性と技術力が、若い世代を巻き込んだ「修理ビジネス」として再び脚光を浴びている。

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不要品を活用し「一石三鳥」
同社のバックヤードには、大量のスーツケースやバッグ類がストックされている。 見積額が折り合わず客が放棄したもの、 ネットを通じて買い取った不要品などだ。 多くが部品取りをした後に廃棄されるが、 修理・再生して中古品としてネット販売されるものもある。こうした廃薬品や再生品は新人研修の練習台にもなる。 修理を受託した品は、ある程度の技術レベルに達するまで決して手を触れさせないのが基本方針だ。触れさせる場合でも「ここまでやってみろ、 後はワシが仕上げるから」 と先輩のフォローは欠かせない。 ネットの普及のおかげもあり、同社では不要品が二重、三重に活用されている。 それでも廃棄品がパッカー車に投入される瞬間、山澤氏は「もったいない」 と感じるそうだ。

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原価を可視化し着実な利益管理を

(修理する際、最も気をつけることは何ですか?)

お客さまの要望をできるだけ正確に把握し忠実に実行すること。 お客さまに 「どこを直
したの」 と言われるくらいの仕上がりを目指すのが、 当社のモットーです。 良いモノは使い込むことで風格が出てきますが、それも含めて修理・再生しなければ満足してはいただけません。

(修理できない靴はありますか?)

「正倉院御物」 に近いものとか (笑)、 ちょっと触れただけでモロモロと崩れるような劣化したものは、無理ですね。

(修理が 「ビジネス」として成り立つための留意点は?)

機械化もできませんし、 海外に生産拠点を移すこともできませんから、 受注生産のバランスを取り
ながら伸ばしていくことが重要です。 もう一つ難しいのは、原価が見えにくいので見積もりがアバウトになりがちなこと。 コストの大部分は技術力の養成費や「手間代」例えば、同じキャスターが割れている場合でも、破損個所や割れ方の状況次第で、必要な技術力や手間が変わってきます。これまであいまいだった部分を見えるようにすることで利益管理を着実に行い、 技術力や生産性の向上に反映させていかなければなりません。 (創業者 山澤信一氏)

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