山澤工房

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※価格・定休日等のデータは平成12年当時のものです。 旅の思い出がつまったスーツケース。多少傷がついたぐらいで捨ててしまうのは忍びない。と思っていたら、金属だろうがABS樹脂のスーツケースだろうが、陥没下部分をほぼ完璧に修復してくれる名医を発見した。「へこみやキャスターが陥没してしまったスーツケースも直します。穴が開いたABS樹脂のスーツケースも元どおりに直してみせます」と、カバン修理専門の山澤信一社長(57歳)は自信たっぷりに話してくれた。ただし、パーツ交換が伴う修理については、メーカー純正のパーツの用意がないものもあるので要相談。なければそれに準じたものを取り付けてくれるはずだ。 堅牢が自慢のゼロハリバートンだってへこむ場合がある。少しぐらいのへこみなら旅の勲章といっていられるが、へたをするとフタが閉まらなくなることもありうる。そうなる前に早めに修理してもらおう。「かつてゼロハリバートンの本社から工場長とリペアマンが訪れ、修理の仕方を講義してもらったことがあります」(山澤社長) 谷口さんが直してくれたゼロハリバートン。矢印のへこみがなくなるまでに要した時間は約1時間。信じられないけど本当の出来事。かつて同工房はゼロハリバートンの修理指定工場だったこともある。いまはメーカーから部品の供給を受けていないのでオリジナル部品の取り付けはできない。だが、それに準じたものを装着してくれる。 一度内張りをはずしてから木槌と木製のポンチで叩き出す。上のピンク色の紙に「トントン修理」と書いてあるのは、ポンチで叩く修理の意味。叩きながらときどき指でへこみ具合を確認。黒のマーキングが見えるが、これはどこを叩くべきかを示すサイン。叩き出しが終わったら、両面テープを貼って、内張りをとめて完了。 工房は元カラオケルームだった施設を有効利用。カラオケルームだけにいくらトントン修理をしても騒音公害の心配はない。ところが、ゼロハリバートンを修理中の谷口淳さんがいるこの工房はわずか4畳半。立ち上がらなければ修理もできないほどだ。 ●リモワの修理 ドイツの名門リモワ。この金属カバンの特徴は、リブ(肋骨)構造といって、表面のトタン屋根のような連続した突起にある。このリブが1本でもへこむと、ドミノ倒しのように周囲一帯に影響を及ぼす。そうなってしまったリモワの場合、先端が一文字になった金具のポンチでリブを一本一本打ち出して復元する。 @肋骨が数本折れた複雑骨折状態のリモワ。しっかりとフタが閉まらず、雨水が浸入してくるケースも考えられる。A修理後のリモワ。木槌と先端が一文字のポンチでリブを丁寧にたたき出し、ほぼ新品の状態に回復した。「金属カバンは、へこんだとき金属疲労を起こしています。鋭角にへこんでいる場合、とくに注意が必要です。うちの工房では細心の注意をはらって修理しているのでご安心ください」(谷口さん) 陥没したABS樹脂のスーツケース。内張りをはずし、裏側をドライバーで押しながら外側にドライヤーの温風を当てる。するとあら不思議。ものの数分で陥没部が浮き上がってきた。一見簡単そうだが、熟練の技が必要。 陥没は解決したが、新たな問題が発生。復元したところが白く濁ってしまった。そこで必要な箇所だけにマスキングテープを貼り、スーツケースのボディカラーと同じ色に調色した塗料を塗る。全体的に色をなじませるためエアーブラシを吹き付ける。乾いたら、内張りを戻して修理完了。 約30分の出来事で見事復活したスーツケース。これで3000円。ポッカリと穴が開いてしまった場合でもABS樹脂のシート1枚で修復できる。シートをパンを焼く要領でオーブントースターで焼く。表面が柔らかくなったところでスーツケースの裏側に貼る。表側の形をなじませたら、先ほどのように色を塗る。


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